こんにちは、ちゃん貴(@butsuyokukaisho)です。
1月に入り、本格的に冷え込み始めましたね。
とはいえ、我が物欲艦隊にはかの有名なモンスターパーカー中尉がいるので、そんじょそこらの寒波なんぞ歯牙にも掛けないレベルで対策済みなのですが、
なんと今回、物理的な寒気への耐久性はもちろん、精神的にもホックホクになるスペシャルな防寒着の誘致に成功しました。
こちら。
この鮮やかなお色と、写真で解る上質なヘリンボーン生地。
そう、これこそが、、、
2023年における物欲在庫の第1位、インバーティアのダッフルコートです!
ちなみに、本ブログの読者の方であればご存知でしょうが、インバーティアのダッフルコートは過去に本ブログでも紹介した事がある逸品。
もっといえば、そのエントリの中でもインバーティアのブランド説明だったり、サイズ選びのコツなんかにも触れていたりもするもんで、正直ココンチの魅力について、改めて筆を執るとしても新たに追記できる内容はありませんwww(爆)
しかし!!
それでも まだまだインバーティアに秘められた歴史や蘊蓄、はたまたミリタリールーツに対する違いなど紹介しきれていない情報は沢山あるもんで、今回のエントリでは
- ダッフルコートのルーツから遡った歴史と派生
- インバーティアの立ち位置と歴史
- ちょっと深く突っ込んだエルメス生地の詳細
と言った、前回のエントリで割愛した補足情報や蘊蓄紹介をメインに、更なるインバーティアの魅力をご紹介していきたいと思います!!
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というわけで、ここからは完全に趣味の世界として(爆)、ダッフルコートの歴史を紐解いていきたいと思いますが、乱暴にいうと現在のダッフルコートは上の画像の様な感じに分ける事ができます。
ちなみに、便宜上ここでは【肉食系】と【草食系】と記載しましたが、この仕分けのポイントはズバリ、 【肉食系;軍事用途】or. 【草食系;街着用途】と言ったところでしょうか。
というわけで、ここからもう少し掘り下げてみましょう。
オリジナルと、放出品の系譜を継ぐ肉食派ブランド
【肉食系;軍事用途】といえば、元々漁師さんの防寒着だったダッフルコートをイギリス軍が軍事用ユニフォームとして採用した系譜に忠実なブランドやモデルを指します。
具体的なブランドでいえば、チベット(モンゴメリー)や、グローバーオールがそれに該当します。
また、【肉食系;軍事用途】のダッフルコートといえば、ガシガシっとしたメルトンウールのボディに、木製トグルと麻紐ループが使われているのが特徴です。
麻紐は水に濡れると強度が増す特性があるので、船上の使用を考慮すると非常に理に適った設計なんですね。ここはテストに出ます。ちなみに、トグルは3つが多いです。
ちなみに、軍事用のダッフルコートのエピソードとして1番に名が挙がるのが、ダッフルコート好きでお馴染みのバーナード・モンゴメリー元帥。
そして、モンゴメリー元帥が愛したダッフルコートのディテールを再現したのが、グローバーオール社のモンティというモデルなのですが、、、
実はグローバーオール社のルーツは【放出品の卸売販売店】だったというのはご存知でしょうか。
つまり、放出品を販売する中でレプリカのダッフルコート(モンティの様なオリジナルディテールを採用したモデル)をリリースし、コートブランドとして確固たる地位を築いていったという歴史があるんですね。
それから言えば、そもそもの軍用ダッフルコートのオリジンはチベット社(イデアルクロージングカンパニー社)で、グローバーオール社は戦後のレプリカブランド、という立ち位置になります。
はい、ココもテストに出ます。
相関図で言えば、こんな感じですね。
ただ、グローバーオールは後発ブランドとは言え、現在の活躍っぷりは言わずもがな。
イギリスでは冬季オリンピックの公式ユニフォームとして採用される国民的なブランドである事はもちろん、日本でも菅田将暉さんがドラマ【ミステリと云う勿れ】の作中で着用したダッフルコートはグローバーオールのモンティです。 肉食系ダッフルコート、恐るべし!!
確かな品質で、街着用にアップデートした草食派ブランド
一方で、上述したグローバーオール社の功績により民間でも大人気となったダッフルコート。
とはいえ、軍人ならまだしも一般人が着こなすには難易度が高かった軍用ダッフルコートを、より『都会的にアップデートした軟弱仕様のダッフルコート(爆)』こそが、【草食系;街着用途】のダッフルコートのルーツとなります。
おそらく、当時もオリジナルのディテールを度外視してカタチだけ似せた『軟弱仕様のダッフルコート』には、オリジナル至上主義のパイセン達からの批判はあったかもしれません。
しかし、そういったアップデートをオリジンである【チベット】が行ったり、フランスのビッグメゾンの【エルメス】、そして【オールドイングランド】が手がける事で、徐々に草食系ダッフルコートが市民権を得ていくようになります。
相関図としてはこんな感じでしょうか。
乱暴に肉食系ブランドと定義したチベットやグローバーオールも、実は草食系モデルをリリースしているので、この辺りはご容赦くださいwww
ディテールも麻紐で作られたループは革紐に変更され、木製トグルも水牛の角に変更したりと、この辺りのアップデートは顕著です。またトグルの数も4つに増え防寒性もUP。
ちなみに、この草食系ダッフルコートの発展にはテーラリング技術を基にした縫製技術や、ガッシガシのメルトン素材からフワッフワの高級生地へシフトしていった背景も大きく影響するのですが、ここいらのエピソードは後述で。
補足;ストリートスタイルには肉食派?草食派?
ちなみに、これは近年(?)で派生した解釈だと思いますが、
私奴はストリート用途には草食系ダッフルを推したい派です。
というのも(賛否あって良いですが)、コレには個人的には藤原ヒロシ御大の影響が大きいんです。 それこそ、1990年代のストリートシーンのカリスマ(今でもそうだけど)だった氏が、雑誌でエルメスのダッフルコートを大きく紹介していたんですよね。
今考えてもビッグメゾンのアイテムをストリート(普段使い)に落とし込むマインドや、はたまたそこに至るサクセスっぷり(財力の誇示)が非常にストリート的。
少なくとも、当時の私奴には絶対買えなかった(今でも買えないwww)けれど、そのスタンスに一定の憧れはありましたから、やはりカルチャーへの影響は大きかったと思います。
そんな背景もあって、私奴のカジュアルルーツとしてはグローバーオール(肉食系)よりもエルメス(草食系)に惹かれるワケで、その文脈からインバーティアを選ぶ、、、といった具合になったワケです。
とは言え、正直いえばアイテムのチョイスに何が正しいとかは無いです。
極論をいえば(ここまで書いておいて何ですが)、肉食系・草食系の概念だって無視してくれて良いですし。(爆)
ただ、(例え後付けだとしても)こう言ったアイテムの背景や文脈を知ってた方が手持ちのアイテムに対しても愛着は湧くし、
というか、こういう考察をするのって単純に面白く無いですか?(猛爆)
インバーティアといえば、HERMES生地!
さぁ、ここまでインバーティアとは大きく関係ない話で引っ張ってきましたが、お待たせしました。
ここからが今回の主役、インバーティアの出番です!!
上述した通り、肉食系ダッフルコートから派生する形で誕生した草食系ダッフルコートですが、この草食系ダッフルコートを語るにあたって 1つ絶対に外せないディテールがあります。
それこそが、、、
ムーアブルック社が手掛けた、ヘリンボーン生地!!
この深く刻まれた凹凸がおりなす生地の美しさと、柔らかさ、軽さ、そして最高級のウールを用いる事で完成する肌触り。
草食系ダッフルコートの発展は、この生地があったからこそ成し得たと言っても過言ではありません。
ちなみに、この生地があまりにも素晴らしかった為に、エルメスが『ダッフルコートにはこの生地しか使わない!』と言ったのはあまりにも有名な話です。
それもあってムーアブルック社のヘリンボーン生地は【別名;エルメス生地】と称される様になるのですが、この辺りも色々とややこしい歴史がありまして、これも相関図を用いて説明してまいりましょう。
【Moorbrook】と【Joshua Ellis】と【Glen Isla】
ではまず、順を追って説明しますが、この美しいエルメス生地を生産していたのは上述した通り【Moorbrook / ムーアブルック】。
ムーアブルックは元々ファブリックメーカーでしたが、後に素晴らしい技術と品質に定評のあるコートメーカーのインバーティアを買収し、
- 生地製造;ムーアブルック
- コート製造;インバーティア
という自社グループ内での超強力なドリームタッグを結成、世を席巻して行くようになります。
そして、その強力タッグ陣営下にてインバーティアが製造(OEM供給)していたのが、何を隠そうエルメスのダッフルコートなのでした。
ここでようやくインバーティアとエルメスの文脈が繋がりましたww
ただ、ムーアブルック社は『極上の生地を用いた、高品質なコートが製造できる』というパンチ力こそ強力でしたが、夏季のプロダクトに精彩を欠く欠点もあり、バブル崩壊により経営が悪化。惜しまれつつも2003年に廃業し、かの美しいエルメス生地に幕が降りる事となります。
しかし!!
ムーアブルックの倒産以降、各社があのエルメス生地の再現を試みたものの、どうやってもあの生地が作れません。 それもそのはず、かつてムーアブルックが製造していた生地は、いつ壊れてもおかしくない100年以上昔に作られた超クラシックな織り機を使って織り上げる工芸品のような生地なのでした。
それでも『極上のコートを作るにはあの生地が必要なんだ!!』という事で、世界に散り散りとなっていた当時の機械(世界に4台しか現存しない超レアな織機の内、3台)を買い戻し、ムーアブルック時代のレシピのまま忠実に再現させる事に成功したのが、奇跡の立役者【Joshua Ellis / ジョシュアエリス】です。
ちなみに【Joshua Ellis】は1767年(今から250年以上前!!)に創業したイギリスの最高級生地メーカー。大袈裟ではなく、エルメス生地のロストテクノジー化を回避した 正にテキスタイル界の救世主です。
そんな【Joshua Ellis】の大立ち回りの甲斐あって、エルメス生地の復刻と共にインバーティアも復活。現在においても当時のエルメスの系譜を継ぐダッフルコートが製造できるようになったわけですね。 あー、長い歴史でしたwww
ちなみに、今でこそインバーティアのコートには【Joshua Ellis】のタグが付いていますが、エルメス生地を復活させたばかりの頃は、権利の関係で【Joshua Ellis】タグはオールドイングランド社しか付けれない時代がありました。
とは言え『せっかく復刻したのにインバーティアでもエルメス生地を用いたコートを作りたいじゃんか!!』という事で、そこらへんの問題を回避する為にインバーティアのコートでエルメス生地を使う場合、【Glen Isla / グレンアイラ】というブランド名義でタグ付けしていた時期があるんですね。
ちなみに、私奴のインバーティアが正にそれ。
今となってはこの【Glen Isla / グレンアイラ】のタグも結構レアでしょw w
というわけで、改めてここまでのエピソードをまとめた相関図がコレ。
生地1つをとっても、ここまでエピソードが詰まってるアイテムなんてそうそう無いですよ。
しかし、こういった蘊蓄とかエピソードって男心をくすぐるんだよなぁwww
次回予告;伝説のヘリンボーン生地の極上っぷりたるや!
ここまでで、大雑把ながらも
- ダッフルコートの歴史は分かった
- ヘリンボーン生地の変遷も分かった
ということで、ここからはより具体的に【実際に使われているヘリンボーン生地】を紹介したいと思いますが、、、
如何せんここまでのエピソードで文字数を使いすぎた為、本エントリは一旦ここで箸休め!(猛爆)
フワッフワの極上生地については、後編にて紹介したいと思います!!
いやぁ、久しぶりにアイテムそのものではなく蘊蓄ばかりを語るエントリを書いた気がしますwww
とはいえ、思えば私奴が洋服に魅力を感じるポイントとしては、こう言った蘊蓄やバックボーン、そして各ブランドのこだわりだったりするワケで、、、
インバーティアの魅力を伝える初期衝動としては、こういったエントリもアリなんじゃ無いか、と自分に言い聞かせていますwww
というわけで、後編も乞うご期待あれ!!!
あとがき
今回、あえて【肉食系】と【草食系】という表記をしたものの、【藤岡弘、系】と【藤原ヒロシ系】というカテゴライズでも良かったかもしれませんwww イメージ的にもそれっぽいですし。いや、知らんけど。
いうて、画像検索してみるに藤岡弘、御大がダッフルコートを着ている画像が見つからず、
このカテゴライズは妄想に終わるのでしたwww(爆)
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