前回のエントリにて私奴が愛用するフェリージの3500(通称コロコロ)をレビューし、
- エイジングのさせ甲斐がある
- デザインが秀逸
- 実用性にだって秀でている
と攻撃面で抜群の定評がある旨をご詳細させて頂きました。
しかしながら、守備面に目をやると
- ボディの大きさ(厚み)故にズボンのポケットに入らない
- スーツスタイルには合わないww
と、守備力が極端に低いアイテムである事は前回のエントリの通りです。(猛爆)
正直、私奴も夏場はコロコロの取り回しには持て余していましたし、百歩譲ってカバンを持つとなっても、文庫本やらモバイルバッテリーやらサングラスやらと、結局荷物が多くなっちゃうので、どうにか成らんのか?と自問を繰り広げたモノでしたww
それもあって、前回エントリでは『コロコロを持つにはコツが要る』なんて偉そうに語ったワケ(猛爆)ですが、これも特効薬的な改善方法があるとすれば、【サブのコンパクトな財布と使い分ける!】というのが、いちばんスマートかと思います。
ただ、この為に新しいサブ財布を買う!というのも本末転倒だよなぁ、、、と悶々としておった所、『そういえば昔使っていた財布がサブ財布として使えるんじゃないか?』という巧妙がキラリ。
という事で、私奴の小物ケースをゴソゴソと詮索していると、、、見つけました。コイツ!
一見どこにでもありそうな二つ折りの財布。
キズや凹みという使い古された感はありますが、何故かツヤだけは強い不思議な財布です。
というワケで、今回のエントリの主役はこの黒光りした不思議なツヤ財布!
遡ること14年前、当時19歳のちゃん貴青年に訪れた第1次レザーブームの際に購入したコイツは、10年以上の時を経て 見事一軍復帰を果たす事ができるでしょうか!?いざ!
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ポーター謹製。ブライドルレザーの二つ折り財布!
というワケで急遽 私奴の革小物保管庫よりサルベージされたお財布。
10年間ろくすっぽ手入れもしていなかったにも関わらず、圧倒的なツヤ感をキープしたまま というコンディションからも分かるとおり、コイツはただの革財布では御座いません。
というワケで、中身を見てみましょう。コレだ!
そう、これぞ日本が誇る鞄メーカー、ポーター謹製の革財布です!
もっといえば、コイツに秘められたギミック(?)がコレ。
内側にうっすらと残るこの白い粉状の斑点は、、、
そう!ブルーム。ということはコイツは何を隠そうブライドルレザーなのでした!上述したツヤの根源はコレだったのだ!
それこそ、いつも本ブログを御贔屓頂いている諸兄諸姉諸君はご存知かと思いますが、ブライドルレザーといえば馬具に使用されるレザーとして有名で(前回エントリでご紹介した私奴のコロコロもブライドルレザーでした。)、革を鞣した後にWAX成分を十二分に染み込ませることによって、高い堅牢性を持たせつつも、使えば使うほどに馴染みが良くなる、、、と専らの評判です。
もっと言えば、表面に浮き出てきちゃう程に染み込ませたWAX成分により、日々のメンテナンスもブラッシングで完結出来ちゃうよ!という手の掛からなさも◎。
それでありながら、非常にツヤのある表情のよい革に仕上がって行く事から、正にエイジングレザーの王様といっても過言ではありません。
初めて革製品をエイジングさせてみたい!という方の入門編にも位置付けられるブライドルレザーですが、このレザーを用いてポーターはどんな財布を仕上げたのか!?
ここからはそんな詳細をご紹介したいと思います!
ポーターのカジノは質実剛健。垂涎ディテールをご紹介!
さて、前項の繰り返しとなりますが、上述の通りコイツはポーター謹製。
もっと言えば、数あるポーターのラインナップの中でもブライドルレザーを使って職人さんが丁寧に縫い上げた【カジノ】と言われる商品ラインこそがコイツの正体です!
ですが、ポーターといえば【タンカー】に代表されるようにナイロン使いのカバンが有名ではないでしょうか。こういうヤツ。
私奴のタンカーのブリーフケースはオン/オフ問わず大活躍。
使用歴が15年を経過しても、今なお現役バリバリの有力選手!
今でこそ【タンカー】の大ヒットも手伝って、【カジノ】のような革製品は昨今のポーターのブランドイメージからは一見遠いように見えがちですが、元々の歴史を遡ればポーター(吉田カバン)は革カバン製作から始まったメーカー。
古くは黒沢映画の小道具としてココンチの革カバンが使われたり、若き頃の皇后美智子さまのプライベート用途にも吉田カバンが使われたりと、抜群の品質と信頼性は当時から定評があったんですね。
それからいえば、この【カジノ】というラインナップは【吉田カバンの本質的な魅力】が全面に押し出されたプロダクトといっても過言では無いのかもしれせん。
というのも このカジノ。財布という小さな製品でありながらも、上述した【ポーターらしい職人気質っぷり】を十分に感じさせる垂涎ポイントが随所にちりばめられているんですよ。
というワケで、本項ではそんな秘められた垂涎ポイントについてもご紹介したいと思います。
垂涎ポイント①;芸術的なコバの処理
さて、このカジノにおける、一番の分かり易いセールスポイントといえば上述したブライドルレザーとなりますが、個人的な一番の垂涎ポイントは、コレでしょう!
ズバリ【コバの仕上げ】です。
ちなみに、【コバ】というのは 革の断面ですね。ココ。
当て馬に使われたのは、フェリージの名刺入れww(爆)
この露出した革の断面部分がコバです。
革を張り合わせた断面を磨いて重なりが分からない様にするのが一般的に言われる【コバ磨き】という工程なのですが、コレはあまりキレイに磨けていないなww(猛爆)
また、このコバ磨きも、一般的にはワックスや顔料をコバに塗る⇒磨くを繰り返す事にて、滑らかで革と革の境界が分からない様なコバを作っていくワケですね。 私奴は持ってはいませんが、ワイルドスワンズの財布なんかはコバの処理がとてもキレイと有名です。
まぁ要するに【コバ磨き】と言われる工程は(乱暴に説明すると)、断面から見た際に 貼り合わせた革の界面が目立たない様に処理をする、、、といった理解で良いかと思います。
それに対して、ポーターのカジノがコレ。
なんと、顔料を塗布しない断面露出タイプ!
ただし、キッチリと磨かれたコバは積層された革が木目の様に重なっています。
というのも、このコバの処理は決して手を抜いているワケではなく、【切り目仕上げ】という特別な処理が行われているんです。
そもそもコバ磨きという工程は、上述したルックス的な意図もありますが、元は重ね合わせた革の端っこ(断面)が割れたり傷んだりするのを防ぐ為の補強工程。
それ故、コストダウンを図ろうとすると『樹脂系のインキを塗り固めておしまい!』なんて処理をするメーカーもあるなかで、敢えて顔料や樹脂系の塗布剤を使わず、ヤスリとワックスだけで仕上げるというドMっぷりは品質に自信がないとそうそう出来ることではありませんww
むしろ、例え一般的には注目度の低い場所(ツウの方なんかは注目しがちですがww)だとしても、最高の仕上げで提供したい!という職人気質な想いが込められているのではないでしょうか。
とはいえ、私奴もサラリーマンですから、企業が合理化や簡素化、コストダウンといった生産性を求める気持ちや、そういった風潮もわずかながら分かるつもりです。
ただ、そういった風潮を突っぱねてまで、こういった細かい処理に手間暇をかける精神こそが【ポーター(吉田カバン)らしい】なぁと思います。
垂涎ポイント②;カード入れの革の梳きが秀逸
そして上記のコバとも関連しますが、更なる垂涎ポイントを挙げるとすればコレでしょう。
多くを語るよりは先ず見てみてください、コイツ。
カード入れの場所に注目すると、丁寧な革の漉き(薄く削る作業)が入っている事が分かります。
コイツを買う時に『メチャメチャ手が込んでるでしょ?』と店員さんから説明されたのを今でも覚えています。
また、この革の漉き具合がよく分かるのがカードの収納枚数。
いくつの革を重ね合わせて要るのかwwwという程の重なりっぷり。
これだけのカードポケットを設計しながら、この厚みで仕上げるというのはどれだけ薄く漉いているのか。これも【吉田カバンらしさ】が光る職人芸ですよね。
垂涎ポイント③;ライナーまでブライドルレザー
また、3つ目の垂涎ポイントがコレ。
それこそ、ふたつ目のカード入れの革漉きとも関連しますが、財布の外側はブライドルレザーでもライナーは普通の革という財布もある一方で、、、
カジノはライナー(内張り)まで全てブライドルレザーという贅沢仕様!
もっと言えば、カードケース部分の写真で気がついた方も居るかもしれませんが、『え?マジで?』と声に出しちゃったのがこれ。
カード収納箇所の内側という、見えない所までブライドルレザーの銀面を張り合わせている贅沢っぷり!!!
こんな所まで全部ブライドルレザーで仕上げてるってナニソレ素敵!!
そして使われているレザーもブライドルレザーの本場であるイギリスの最高峰タンナーからの買い付けという本格派っぷり。
それこそ、他のブライドルレザーを用いたブランドの財布は軒並み高騰している(例えばホワイトハウスコックスの2つ折り財布は大体¥36,000という値段設定)のなか、ココンチは約¥24,000という超大判振る舞いも魅力。
これだけ贅沢にブライドルレザーを使って、職人さんが手作業で作製してこの価格の据え置きっぷりというのはチョット他では考えられないですね。ほんと。
ちなみに、コイツの全貌がコチラ。
両サイドにカード入れという、小銭ポケットの無い まさにお札入れ!
振り返れば19歳当時にトリッカーズを買ってみたり、はたまたコイツを買ってみたりとキレキレの審美眼を持っていたのは言うまでもありません。 当時の自分に本気で感謝です。(猛爆)
カジノのエイジング具合をみてみよう!
そんなカジノですが、実はコイツを購入するまでは同じポーターでも【カプセル】というナイロンの財布を使っていました。コイツ。
高校時代からこのブルーグレーのお色を好んで使っていたんだよね。
右のケツポケットが財布の定位置でした。
その後、【カプセル】から【カジノ】へ財布は変わったモノの、ケツポケットに財布を入れるクセは抜けきれず、ケツポケットに財布を入れたままデスクワークに勤しむなんて事もザラでした(猛爆)
それ故、二つ折りとはいえペタンコに折れ曲がってみたり、折りグセが斜めについてみたりと、今思えばもう少しキレイに使っても良かったなぁと反省点もあります。
僅かながら、折りたたんだ際にズレが発生している。
そしてペタンコに折り曲がった様子はケツポケ収納の弊害かww
ただ、やはり革質が上質なので 折り曲げ部分やコバ近傍にクラック等の発生は見られず、堅牢性はサスガの一言。
また、全体的に傷や打痕のような凹みは多々あるけれど、コレはこれでいい塩梅ではないでしょうか。
幾分ワイルドな風貌に育ちすぎているきらいはありますが、ブラックというお色的になんとかスーツにも合わせれるし、何と言ってもコロコロの代替えとして、ちょっと出かける時にはスーパー便利です。
ってか、サブ財布とは言っても正直クレカと免許証くらいが入ればなんとかなるもんで、コロコロを母艦として チョット出かける時は小回りの聞くカジノにお金を補充、、、なんて使い方ができる様になったのも最近のライフハックとしてはヒット案件だと思いますwww
ってかこのカジノ、エイジング具合や使い勝手をもって現役復帰是非を判断をするつもりでしたが、今となっては既に何気ない顔をしながら我が物欲艦隊の一員として再復帰していました(猛爆)
あとがき
ちなみに、今回カジノについて筆を走らせるに伴い、現在もラインナップとして健在なのかを確認する為にポーターのサイトを確認してみましたが、、、
まだまだ現役のラインナップでしたwww
それこそ私奴が購入して20年が経ちますが、結構なロングセラーだったのねw(猛爆)
まぁ正直いうと、当時のちゃん貴青年がココまでコイツのディテールに惚れ込んだのか、、、と言うと、実際は今ほどにピンと来ていなかったと思いますwww
ただ、お店で接客をしてくれたお婆ちゃんがトクトクと説明をしてくれて、 『こういった所にポーターのこだわりがあるんよ!』 と教えてくれたのは未だに覚えています。(何を隠そう、上述した物欲ポイントは、当時 接客をしてくれたお婆ちゃんから教えて貰った事なんです!(猛爆))
もっといえば、そんな説明を聞いて『なんか良く分からんが、こだわりがあってステキだな!』と購入を決意したのも覚えています。
思えば、いろんな洋服や靴、カバンも含めて細かなディテールに魅力を感じたり、ロマンやストーリー性に強く惹かれる様になったのも、そのお婆ちゃんがキッカケだったのかもしれません。
そういう意味ではあのお婆ちゃん、私奴をとんでもない沼に落としてくれたな!!(猛爆)
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