こんにちは、ちゃん貴(@butsuyokukaisho)です。
年末年始からゴリゴリに物欲解消をキメているものの、最近は筆の進みが遅くネタばかり溜まる一方。
それこそ、新年早々誘致に成功したバブアーのビューフォートや、リンカーングリーンの874など、ウキウキに筆を取りたいアイテムが渋滞しているのですが、今回はそんなネタをすっ飛ばして2025年のハイライトとなる大ネタをご紹介しましょう。こちら。

世界5大ジュエラーの一角、Cartierが誇る名作時計、TANK/タンクです!
とは言え、本来であれば絶賛お小遣い生活の私奴にはカルティエブティックに並ぶタンクなんて到底買えません。
にも関わらず、今回私奴が何故このタンクに手が届いたのか?
実はコレには理由がありまして、、、
コイツはタンクはタンクでも、1970年代にカルティエから発売されたディフュージョンライン(廉価版)の【マストタンク】なのです。
ただ、今回ゲットしたこいつは廉価版とは思えない【私奴の理想ディテール】がパンパンに詰め込まれた大本命モデル。
というわけで 今回はタンクに憧れる諸兄諸姉諸君の筆頭候補となり得るコイツについてディテールをビシッとご紹介しながら、長年の片思いで培った私奴の拗らせっぷりを皆さんにお披露目したいと思います!(猛爆)
いやはや、近年の為替や物価上昇を鑑みると、高額商品であればある程、欲しい時が買い時だな!!
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カルティエの名作、タンクとマストタンクとは

では早速、2025年のハイライトと噂される大ネタをご紹介、、、したい所ではありますが、まずその前に【カルティエというブランドの歴史】と【タンクの由来】、【マストタンクとは何か?】をざっくりとおさらいしてみましょう。
というのも、この辺りの歴史を知っておいた方が、後述する内容も理解し易いかと思いますので。
まず、カルティエといえば1847年にフランス・パリで創設された超名門ブランド。
創業者のお孫さんの時代(1900年頃〜)に、パリ、ロンドン、ニューヨークと拠点を増やしながら発展していくのですが(詳しく書くとキリが無いので割愛しますが)、今回 背景として覚えておいて欲しいポイントは下記の通りです。
ひとつ目は、創業者のお孫さんであるピエール・カルティエ御大によって
- 1909年;ニューヨーク支店を設立
- 1917年;現在もニューヨークに現存するカルティエビルに移転
がなされた事。
そしてふたつ目が、ルイ・カルティエ御大(前述したピーエルの兄ちゃん)によって
- 1919年;名作タンクウォッチが発表
されます。
ちなみに、、、
タンクのデザインは(名前の通り)戦車のキャタピラがインスピレーション元になっているのは有名な話ですが、そのモチーフとなった戦車はフランス軍が誇るルノーの戦車だそう。デザインソースとしてフランスのエッセンスが入っている、、、というのもちょっとグッとくる蘊蓄ですねw
その後もエドワード7世が呼んだ『王の宝石商』という異名に恥じぬ活躍でどんどん事業を拡大していくのですが、時が進んだ1964年、ロンドンとニューヨーク支店を立ち上げた敏腕マネージャー、ピエール御大が亡くなった事を機に一度カルティエは事業を売却することになります。
ただ、その8年後の1972年にパリ支店を、1974年にロンドン支店、1976年にニューヨーク支店をそれぞれ再び買い戻したカルティエは、同1976年に一般階級への普及を目的として『持っておかねばならないカルティエ』という意味を込めて、低価格ラインである【Les Must de Cartier】(通称;マストシリーズ)を発表。
そして、そのマストシリーズとして発売されたタンクの事を【マストタンク】と呼ぶようになります。
と、ここまでがカルティエとタンク、マストタンクの簡単な歴史です。
謎深いレアモデル!? プレマストタンクって何!?

では今後こそ(爆)今回私奴がゲットしたタンクをご紹介したいと思いますが、この時計を紹介するにおいてまず触れておかねばならないのは【マストタンク】という名称について。
というのも、この時計には少々ややこしい時代背景が含まれておりまして、上述の通りマストタンクが発売されたのは1976年。しかし、今回私奴が購入したマストタンクは、、、
なんと、1976年の前年(1975年)に発売された【プレ・マストタンク】と言われるマストタンクの先行流通商品(!)だったりします。
もっといえば、1964年の事業売却以降(特に1972年のパリ支店の買い戻し〜1976年のニューヨーク支店買い戻しまでの4年間は)、各支店で独立経営が行われていた事もあって当時のアイテムは(大まかなデザインこそ似ているものの)各支店毎に微妙なディテール差があるのも特徴です。そして今回のアイテムもまさにカルティエ180年の歴史の中で起きたお家騒動真っ只中に生産された混沌プロダクトwww
というわけで、ここからはそんな混沌とした時代だからこそ採用されたマニアックなディテールについて細かくチェックして参りましょう。
ヨーロッパ企画とアメリカ企画ってなに!?

今回私奴がゲットしたマストタンクは
- マストタンクの中でも先行量産的な位置付けで展開された【プレマストタンク】
- カルティエのお家騒動(?)真っ只中に生産された混沌アイテム(爆)
という、少々ややこしい背景が含まれているのは上述した通りですが、実はプレマストタンクに秘められた『ややこしさ』これだけではありません。
それこそ、プレマストタンクが作られた時代は上述したお家騒動の影響で各支店毎に独立経営がされていた時代となる為、
一言でプレマストタンクと言っても
- ニューヨーク企画
- ヨーロッパ企画
という、2種類のモデルが存在する非常に謎深いアイテムとなっています!(爆)
そして、そんな中で今回私奴がゲットしたプレマストタンクは
ズバリ【ニューヨーク カルティエ企画】!!
それこそ、ニューヨーク企画品の細かなディテールは後述しますが、そもそも保証書の連絡先がニューヨークになっているので間違いないでしょう。

もっといえば、保証書に記載されている西暦を見るにコイツは1975年のプロダクトっぽい事も判明。
ニューヨークカルティエが買い戻されるのは1976年ですから、それらを考慮しても各支店で独立経営がなされていた(=ディテール違いが発生する)期間とも合致します。
ちなみに、巷では【ニューヨーク企画】と【ヨーロッパ企画】を比較すると、ヨーロッパ企画の方が作りが良いと言われていますが、個人的な主観でいえば、プレマストタンクというプロダクトは
- ニューヨーク企画の方がルーツを感る(後述します)
- 私奴の好みとして、アメリカの香りがする方が好き
という事もあって、むしろ私奴としてはニューヨーク企画の方がウェルカム。
その辺らについては、後述するディテールを見ながら各自判断してみてください。
ジュエラーの矜持を感じるケース構成

ではここからは、そんな謎深き【プレマストタンク】のディテールについて確認していきたいと思いますが、折角ならモデル違いで比較した方が分かりやすいかも、、、という事で、、、
- タンク・ルイ(上位機種)
- プレマストタンク(ニューヨーク企画)
- プレマストタンク(ヨーロッパ企画)
- マストタンク(カルティエ統一後)
という『ややこしい時代の4品番(爆)』を並べてディテールをチェックしていきたいと思います。
では、まずケースの素材から。
というのも、プレマストタンクにおける最大のディテールの違いといえはコレでしょう。

出典;https://eguchi-store.jp/
出典;https://item.rakuten.co.jp/osakaya78/
当時、上位機種として発売されていた【タンク・ルイ】のケースは18金の無垢材で作られるのが標準的でした。ただ、廉価版であるマストタンクに18金素材を使うと販売価格が上がりすぎる事もあって、、、
シルバー925製のケースに分厚い金めっき(通称;ヴェルメイユ)を施したケースが採用される事となります。
ちなみに、金めっきと聞くと安っぽいイメージを持たれる方も少なくないかと思いますが、ココンチの金めっきは色味だけ似せたなんちゃって金めっきではなく、【ガチの18金被膜】なのは強調しておきたい所。

もっといえば、20μm(普通の装飾めっきの20倍以上)の厚みがついた特別めっきが施されており、単純にめっきだけでも価値がある構造で作られている事にジュエラーの矜持を感じますね。
もっといえば、昨今の時計ケース界隈では腐食や変色に強いステンレスが採用される事が多い中、逆にシルバー925製のケースっていうのも特別感があっていいでしょ。私奴、こういうの好きです。
台形型のケース形状
また、これは上述したケース構造とも関連するのですが、マストタンクはケース形状にも特徴があります。
というのも、上位機種のタンク・ルイ(左端)は側面からみた時に台形状のケース形状となっているのに対し、マストタンク(右端)は長丸状のケースとなっているんですね。こちら。

出典;https://www.tokisuke.jp/
出典;https://regalo-watch.com/
そして、ここで注目するべきは、プレマストタンク(中央)の形状です。
それこそ廉価版という立ち位置ではマストタンクと同じでありながら、
ケース形状は上位機種の【タンク・ルイ】を彷彿とさせる台形デザインが採用されているんです!
ただ、細かくいえば【ヨーロッパ企画】と【ニューヨーク企画】で裏蓋の留め方が微妙に異なっていて、、、

- ニューヨーク企画;スナップバック
- ヨーロッパ企画;側面ネジ留め+スナップバック
といった違いがあるのはポイントでしょうか。
もっといえば、風防にも違いがあって、
- ニューヨーク企画;プラスチック風防
- ヨーロッパ企画;ガラス風防
となっているのも特徴ですね。
砲弾型のカボション

そんなケース形状が上位機種の【タンク・ルイ】と似ているプレマストタンクですが、実はケース形状以外にも【タンク・ルイ】に似たディテールが踏襲されているパーツがあります。それが、、、
リューズのカボションです。
そもそも、このカボションというパーツもカルティエのアイコニックなディテールですが、下記の通りマストタンク(右端)ではこのディテールがマイナーチェンジされています。

出典;https://www.sweetroad.com/
タンク・ルイ(左端)に取り付けられたカボションは先の尖った【砲弾型】であるのに対して、マストタンク(右端)は【半球型】のカボションに変更されています。
まぁこれも(ケース形状と同じく)、上位機種であるタンク・ルイとの差別化を図る為に変更されたかと思われますが、一方で ここでもプレマストタンクには【タンク・ルイ】を彷彿とさせる砲弾型のカボションが付くボーナスが炸裂!!
もよや『廉価版でありながら上位機種のディテールを踏襲している』という、先行販売商品ならではの試行錯誤が香るディテールとなっています。
ちなみに、ブルーサファイアは古くから『持ち主に降りかかる悪事を遠ざけてくれる』と言われている宝石。そういう意味でも【古代からのお守り】が時計についている、、、というのも男心を掴まれる蘊蓄でしょ?(爆)
シンプルな筆記体の『Cartier』表記の文字盤

上述した通り、【ケース形状】や【カボション形状】など、上位機種であるタンク・ルイに似たディテールを踏襲しているプレマストタンク。
ただ、ここで初めてルックス的に一目でわかる違いが出てきます。
それが文字盤のロゴです。こちら。

出典;https://www.sweetroad.com/
タンク・ルイ(左端)では大文字表記の『CARTIER』ロゴが採用されていますが、プレマストタンクとマストタンクでは『Cartier』という筆記体ロゴが採用される事となります。
ただし、マストタンク(右端)には『must de』という枕詞が付くのに対し、プレマストタンクは『Cartier』のロゴオンリー。捻くれ者の私奴としては『must de』が表記されないシンプルなロゴも特別感があって好きです。
もっと言えば、
プレマストタンクの【ゴールドケース】×【白文字盤】の組み合わせも個人的な好みにビタハマり。
こう言った内容を加味すると、(個人的には)ルックスはマストタンクよりもプレマストタンクの方が好みなんですよね。
ムーブメントは信頼のCal.87

上述の通りルックス面でもプレマストタンクがビタハマりしている私奴ですが、実はルックス意外にもプレマストタンクに惚れた理由がもう一つあります。それが、、、
ムーブメントが手巻きであること!!
これに関しては『クオーツが嫌だ!』とか『機械式時計の方がエライ!』というのを言いたいワケではなくて、単純に手巻き時計を持っていない、、、という理由が大きかったりします。
というのも、手巻き時計は【ムーブメントとしての信頼性が高い/修理しやすい】 といったメンテナンス性もさる事ながら、【1日の初めにゼンマイを巻き上げる儀式的な満足感】というロマンチックな部分を是非とも味わってみたかったんですよね(爆)
まぁこの【1日の始まりの儀式】とやらは手巻き時計のデメリットを正当化する為の常套句である事は百も承知ですが、それでも男の子はこう言った無駄なロマンが好きですからw

また、内蔵ムーブメントは、ETA社のムーブメントをカルティエが組み直した、Cal.87が採用されています。ド定番ムーブメントなので修理パーツが豊富にあるのも心強いですね。
ちなみに、マストタンク(プレマストタンク含む)界隈において、これらの機械式ムーブメントが採用されているのは1980年代前半までに発売された数年間のラインナップのみ。
そう考えると、手巻きのマストタンクはそろそろヴィンテージ時計としてカウントされる世代ですから、お探しの方はお早めに検討頂いた方が良いかもしれません。
次回予告

と、こんな感じで今回はプレマストタンクのディテールを紹介してみましたが、ここまでても思った以上に大ボリュームとなってしまいました(爆)
なんなら、コイツに関しては、
- 実際に腕につけてみたサイズ感
- お洋服との親和性
という様に、ディテール紹介以外にも書きたいことが沢山あるもんで、この辺りも後日改めて筆を取りたいと思います。 乞うご期待くださいませ!!!
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あとがき;マストタンクのルーツはニューヨーク!?

ちなみに、上述した筆記体の『Cartier』ロゴにはちょっとしたウワサ話があります。
というのも、お家騒動真っ只中の1970年代初頭にニューヨークカルティエの独自企画商品として、【タンク・ルイ・ニューヨーク】と言われるモデルがリリースされていたのはご存知でしょうか。その現物写真がこちら。

こちらは【タンク・ルイ】の名を冠するだけあって、ケース素材に18金が使われるハイエンド仕様となっているのですが、着目するべきはこの文字盤。

筆記体の『Cartier』ロゴが採用されているんです!!
一方で、リューズの形状やケース側面のネジ留めなど、所謂ヨーロッパ企画っぽいディテールを備えているコイツ。この商品のキャプションには『ニューヨークで販売されていた』とありますが、真相はわかりません。
ただ、ウワサ話の第2弾(これもネット情報/爆)で言えば、マストタンク発売のキッカケはニューヨークカルティエが独自企画品として展開していた廉価版アイテム(いわば、プレ・プレマストタンク)が好評だったので、ヨーロッパカルティエでも廉価版が企画される様になった、、、というウワサがあったりして、仮にこれが本当ならば
プレマストタンクは、ニューヨークカルティエをルーツに持つ可能性があるんですよね。
そう考えると、(真偽は定かではないものの)市場では人気が低いニューヨーク企画品も意外と悪くないでしょ?(猛爆)
というわけで、『タンクは欲しいけれど、18Kケースのタンクなんて到底買えないよ、、、』というそこの貴方!!
そんな時は、是非マストタンクをチェックしてみては如何でしょうか。
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